Speech Rate Converted Conversations

平成26年度

話速変換を利用した複数人会話の収録とその分析

まず,若年者2人と高齢者1人が参与する会話実験を通常速度と,話速変換を利用した会話環境で収録し分析をした.その結果,通常速度の会話環境では発話の開始が遅れる傾向にある高齢者が,話速変換を利用した会話環境では,場に相応しいタイミングで発話開始できることを示した.しかし,順番交替の際には,話速変換による時間伸長によって現行の話し手の発話完了時点が不明確となり,発話衝突および沈黙が発生することがわかった.これらの結果より,話速変換を利用する会話環境では,話速変換の支援を必要としないユーザへの支援も必要であることを明らかにした.

音声パラメータを制御したゆっくり音声から受ける印象の評価実験

話速とピッチを同時に制御して感情印象が維持できるかの評価実験を実施した.評価実験では,発話中の重要な文節のみをゆっくりにした上でピッチ制御をする区分的韻律制御手法の効果を分析した.その結果,高快度・高覚醒度の音声について,元音声の感情印象を維持できる手法を実装した.

音声区間を自動抽出して話速変換を処理するシステムの実装

話し手が話しやすい会話環境の実現するためには,時間伸長によって生ずる余分な待ち時間の低減が必要になった.そこで,時間伸長を適用する区間を最小限にすることを目的に,音声区間を自動的に抽出する機構を組み込んだ話速変換会話システムに試作し,予備実験を実施した.その結果,参与者らはジェスチャを多用し,より通常の会話に近づくことを確認した.

平成27年度

音声フィードバックによる「話し手」の待ち時間を補間する支援

時間伸長によって生じた話し手の待ち時間中に,話し手自身の伸長音声を聴取させる手法(音声フィードバック)を構築した.これは,話し手が聞き手側の受聴状態を把握することを目的にした機能である.3人会話実験の映像観測から,フィードバック音声を受聴した話し手は,発話内ポーズにおいて,自身の音声を受聴した後に後続発話を開始する発話様式を取るようになり,発話衝突回避への有効性を示した.この研究成果は電子情報通信学会HCS研究会にて発表し,同学会において2015年度ヒューマンコミュニケーション賞を受賞した.

視覚情報(メーター)による「聞き手」が次の話し手として話し始める際のタイミングを把握する支援

聞き手の聴取終了までの予定時間をメーターにより可視化するインタフェースを構築した.このインタフェースを使った3人会話実験の映像観測からは,次話者がメーターの残量を手がかりに現行話者の発話に後続発話が有るか否かを確認してから話し始める事例が確認され,後続発話との発話衝突の回避に効果を示した.また,メーターの残量が上昇中か下降中かの動きを見て,伸長音声の再生終了前に後続発話が有るか否かの予測が可能となり,聴取音声が再生終了する前に次話者が発話を開始出来る効果を示した.

平成28年度

Comming soon